雨宮天3rdアルバム『Paint it, BLUE』感想と考察

雨宮天さんの3rdアルバム『Paint it, BLUE』を聴いて、今見えてるコトについて。

 

『私はライブでは曲ごとの世界観を可視化したいんですよ。』

『それぞれの曲を可視化するようなステージにしたい。』

雨宮天「PARADOX」インタビュー|ポップに突き抜けた新境地の10thシングル - 音楽ナタリー 特集・インタビュー:取材・文 / 須藤輝)

 

と自身のライブパフォーマンスについて語っている雨宮さん。

 

僕自身、ライブ後にブログで「可視化されたもの」を自分がどう視認したのかを濾過する作業が好きなのですが、それなら、今のうちに最初の衝撃を可視化しておけばもっと広く公演中に見えるかなと思い、書き出したわけなのです。

 

新規曲は「初めて受け取って、イメージした世界観」を。

既存曲は「このアルバムでそこに置かれたことにより、感じ方に変化があった部分があれば。

 

 

まだそのお弁当箱に押し込めるのは早いなあというコトはカットしつつ、以上の二点をベースに、コトコトと煮込んでいければなと。


1.Paint it, BLUE -overture-

作曲:荒幡亮平

 

overtureから始まって繋がってく感じの構成好きだなあ。

統一感、しまり、幕開けという感じがして。

 

最後に収録されている、クラシックをベースに作られた「雨の糸」で終わるというきれいな流れになっていて聴いていて心地よいです。

プロローグとエピローグの体裁がしっかり統一されていて、互いに仕掛けがされているような感じ。

 

そんで、このovertureからの次曲への流れが好きなんだわ。


2. Fluegel

作詞・作曲・編曲:塩野 海

 

ひとりでこんな濃い世界観の曲を作る塩野さん、何者なんだ...。

「私は、この「Fluegel」からはすごくシャーマンを感じて。イメージとしては、乾いた大地で、近代的都市生活からは離れて自然と共生している人々がいて、その集落では祈祷師が重要なポジションを占めているみたいな。そういう世界観の中で、集落の期待を一身に背負ったシャーマンが強い祈りを捧げる。そんなイメージで歌いました。」

 

「ちなみに私のイメージするシャーマンは年齢的にはまだ20代と若いんですけど、10代で祈祷師デビューしているので祈祷の経験は十数年積んでいるんです。なおかつ、このイメージ上の世界では人の寿命自体がそんなに長くはなく自然の流れに任せているような……。」

 雨宮天「Paint it, BLUE」インタビュー|デビュー5周年を終え、未来に向けて力強く踏み出す一歩 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー:取材・文 / 須藤輝)

 

 

「Fluegel」は……メモには「集落の未来を背負うシャーマン、断崖絶壁で神と会話」と書いてあります(笑)。壮大で荒涼とした世界観の中で、明日の命が当然じゃない状況を生き抜かなくちゃいけないので、もう祈るしかないんですよ。このキャラは自分が武器を持って戦うわけではないのですが、説得力のある強い祈りをもって歌う巫女みたいなイメージですね。

ニューアルバム『Paint it, BLUE』が世界を青く染め上げる!雨宮 天リリースインタビュー – リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト :取材 青木佑磨(学園祭学園) ・文 市川太一(学園祭学園))

 

 

デモからこれだけ設定を練ることができる雨宮さん、何者なんだ...。

 

「声優として歌いたい」とアーティストデビュー時から一貫として語ってきた雨宮天さん。

 8月13日にデビューシングル「Skyreach」をリリースする声優・雨宮 天にインタビュー!| HMV&BOOKS online )

 

「声優として演じた役から学んだことが歌につながり、逆に歌で感じたり学んだことを役にも生かせるんだと気付きました。声優としても色んな役を演じて、アーティストとしても色んな歌を歌って、相互に還元していきたいですね。」

雨宮天インタビュー -前編- アカメを演じて見つけた感情が歌にも生きている 2ndシングル「月灯り」発売/アニメ!アニメ!)

 

と、以前お話されていて。

こちらのお話はどちらかと言えば歌唱法などの流れだったと記憶していますが、このような「楽曲の主人公」へのアプローチも、その「声優」らしさが覗えて、面白いですよね。

 

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『01. Paint it, BLUE -overture- 』からの『02. Fluegel』のイントロへの繋がり気持ち良すぎて、ニコニコしちゃった。 

 

『Fluegel』は、00年代戦記物アニメOPみたいな曲だなあって思いました。

そう、00年代前半に多かったセル画テイストのアニメOP。

 

アニメの舞台は、雨宮さんがお話されていたような「近代的都市生活からは離れて自然と共生している人々の集落」で、主人公はそこで代々継がれてきたシャーマンの女性。そこに飛行機乗りの青年が遭難して辿り着く、みたいなイメージかなあ。

 

 

あ、なんか、僕のイメージは『マクロス・ゼロ』が近いも知れない。

 

たぶん、妹がいて、その子の名前はマオ・ノーム(冗談)

 

「えんやるらららディストピィアー すっぴんいやがなディストピィアー」みたいなイントロの世界観ぐぐっと構築してくるBackground Vocalが収まって、「てれれれれー♪」とメロディーが入ってくるところで、崖上に立ち眼下に広がる森を見据える女性にふっと追い風が吹き、女性が耳にかかった髪をかき上げたるところで、カメラが下からなめるように顔横を擦り抜け大空へパンしてタイトルロゴが浮かび上がる、感じ。

 

俺も大概というか、俺はただのオタクなだけか。

 

次曲に『Defiance』という「(争いを好まないけれど)戦っていかないといけない白魔術師」を主人公にした楽曲があって、こちらの曲も「強い祈り」を発している曲でどちらもその点は似ているなと思うのだけれど、『Fluegel』の方が曲の主人公に「ブレない強さ」を感じるんですよね。

 

「貫禄」というか、それは雨宮さんがお話ししている「10代で祈祷師デビューしているので祈祷の経験は十数年積んでいるんです」とか、YouTubeでお話していた「シャーマン15年目」という部分から来ていると思うんですよね。

 

10代から15年も集落の期待を背負ってやってきているんだ、面構えが違う。

 

『Fluegel』はドイツ語で「翼」を意味するみたいですね。

 

なんだろうね、なんか芸術作品とかそういう題材多そうなイメージだから、いろいろ調べて考察の幅広めても楽しそうだなあって、思っています。

 

(雨宮さんの楽曲に『ASH』という曲があってそちらに「イカロス」という言葉が出てくるんですけれど、画家アンリ・マティスの『イカロス』解釈とかと繋げると、めちゃくちゃ楽しめるんですよね)

 

「翼」、か。

 

2時間前の僕が勝手に妄想アニメOPトークをしたと思うのですが、この曲は後期OPっぽいイメージ。

集落にやってきて生活を共にした青年は戦う意味を新たに見出して、「かつての空」ではなくて「新しい空」へと飛び立つ、それはきっと集落のための戦いで、シャーマンの女性は妹とともに強く祈る、みたいな。

 

ラブソングとかじゃなくて、生存をかけた、戦いの歌、かなあ。

 

「お前たちが俺の翼だ」的な。

 

あれ?

 

「 たぶん旅人って、何かに飢えているというか、自分に欠けている何かを追い求めている人でもあると思うんですよ。」雨宮天「Paint it, BLUE」インタビュー|デビュー5周年を終え、未来に向けて力強く踏み出す一歩 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー:取材・文 / 須藤輝)と、雨宮さんがお話されていますね。

 

僕の中での解釈だと旅人=青年であって。

 

そして、シャーマンの女性もまた、お役目こそあれど「根拠不明な何かに飢えている」。

家柄、お役目、期待。それらを「責任」として感じているし自分の存在証明にしているけれど、実はそれが「枷」で。すべてから解除され旅立ちたいけれど、許されない。

 

んー。

可視化するとしたら、「足枷をつけられた人が、空を飛ぶ鳥を見上げている」ような光景。

 

あー、書いていてなんか自分の中で感じ所が纏まってきたなあ。

 

 

歌唱所はAメロ終わりの「何が」の強さが好きだなあ。

 

雨宮さんが上の動画でお話しされていた、"雨宮メモ"の「人間」「余裕」「実体験」って何処で、どんなことを表現しているんだろうな...。

 

「実体験」は「絶えぬように」の強さが1サビと違う感じがあるので、2サビ終わりの「傷に苛まれても この身切り裂かれても」なイメージ。

 

ここら辺りは、普段聴きの環境やメンタル次第でブリコラージュしても面白そうだし、ライブの可視化で考察してみても楽しそうですね。


3. Defiance

作詞:TOMO 作曲・編曲:中野ゆう

『Defiance』、雨宮さん楽曲の中でも屈指で好きな曲だったりします。

 

前曲に『Fluegel』があることで、この曲の世界観も際だっていますよね!

 

前曲の『Fluegel』は「肝っ玉座っているシャーマン15年目」が主人公でした。

 

『Defiance』は「(争いを好まないけれど)戦っていかないといけない白魔術師」ということで。

 

んー、なんだろうな、今思ったけれど、今回のアルバム新規曲ってあまり雨宮さんらしくない曲が多い気がする。

 

どの楽曲の登場人物も、『絶望の淵で闇を切り拓いている』んですけれど、なんか皆、芯に強さというか、強固な意志があるように感じられるんですよね。

 

少し「これまでの曲」のお話をすると、雨宮さんの楽曲を以前麻倉ももさんが「いつも絶望の淵で闇を切り裂いてる」(出典:麻倉もも "恋の歌"を歌い続ける理由)とお話されてい。

 

その”絶望の淵で"というのが味噌で。

 

かっこいいどの曲も、主人公たちは絶望の淵に立っていて、そして抱えていた「弱さ」を、捨てるのではなく、自分を突き動かす意志に変えて反抗しようとしている。

 

なんだろうな、こう、「ぶったぎってやるぜ!!」みたいな強さのかっこよさ、じゃなくて、「強く在りたい」と涙を眼に貯めキッと前を向くみたいなかっこよさがあるのです。

 

『Skyreach』にはじまり、『Defiance』の本当は闘いを好まないけれど闘わなくてはならなくなった主人公が紡ぐ言葉とか、どの楽曲の主人公も弱さを抱えていて、そして「それでも」と意志を宿して立ち上がっていく、その途中の曲が多い印象なんですよね。 

 

そこに、僕だって立ち上がりたいから惹かれるんですけれど。

 

 

でも、なんだろうな、今回の新規曲の主人公達って同じよう「それぞれの絶望」の中にいても、意志にブレがないイメージ。

 

もう起き上がってる、が近いのかな。

1度挫けて「それでも」と立ち上がった後、既に強敵に対峙している感じがします。

 

今回のアルバム、過去2枚のアルバム以上に僕は「1枚のアルバムに十数名の主人公がいる」ことを感じたんですけれど、ただ世界観の違いじゃなくて、そうった「強さへの過程」も差違が感じられて、本当に面白いアルバムなんですよね。

 

そういった新規曲に既存曲が挟まれることで、世界観の違いだったり、なんか今までとは違った新たな見え方が出来た曲もあって、今回の3rdアルバムは味わっていて本当に楽しかったです。


4. Catharsis

作詞:上坂梨紗 作曲:NA.ZU.NA 編曲:ArmySlick

 

解釈、難しい曲ですよねー。

書いていったらなんか見えてくるかしら。

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「ラブソングと解釈できる要素もあるかもしれませんけど、私はそういうつもりでは歌っていませんね。この曲の主人公は自由奔放に生きているだけなんですけど、そうすると勝手に男の人が寄ってきちゃうみたいなイメージで。」

  雨宮天「Paint it, BLUE」インタビュー|デビュー5周年を終え、未来に向けて力強く踏み出す一歩 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー:取材・文 / 須藤輝)

 

「誰かへ向けた愛はなくて、強いて言えば自己愛があるだけだと私は思っていて。ただ、自分を愛して自分の好きなように振る舞っているけれど、どこか満たされない部分があって、それがDメロの「弱さという醜さを 見せてしまった日には どうせ貴方 面倒くさそうに 離れていくんでしょ」という歌詞に表れているんです。だから「Fluegel」の主人公が超然としていたのに対して、この「Catharsis」の主人公はすごく人間臭いんですよ。」

 雨宮天「Paint it, BLUE」インタビュー|デビュー5周年を終え、未来に向けて力強く踏み出す一歩 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー:取材・文 / 須藤輝)

 

「本当の意味で自分を肯定したい、自己承認欲求みたいなものは自分にもあるので。それが満たされる瞬間があったとしても、結局どこかで寂しさが残ってしまうというか。うん、そこは「Catharsis」の主人公に共感できるところではありますね。」

 雨宮天「Paint it, BLUE」インタビュー|デビュー5周年を終え、未来に向けて力強く踏み出す一歩 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー:取材・文 / 須藤輝)

 

 

 

「この曲はアルバムでの役割は「小悪魔セクシー」ですね。キャラクター像は「ショッキングピンクと黒、短いパンツにニーハイブーツ、自信家で気分屋、アイメイクしっかりめ」とメモしてあります(笑)。」

ニューアルバム『Paint it, BLUE』が世界を青く染め上げる!雨宮 天リリースインタビュー – リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト :取材 青木佑磨(学園祭学園) ・文 市川太一(学園祭学園))

 

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んー、そうなあ。

 

自己愛の強い、小悪魔気まぐれ天邪鬼猫娘曲、かなあ。

 

『SHU!BI!DU!BA!』の、東京に夢見て上京してきた女の子と絡めたい...。絶対可笑しさ味わえるように意地悪して楽しんでそうだし、何なら嫉妬してそう。

いつかライブで同じブロックで歌ってくれたら床にノート敷いて解釈書き殴っちゃう。

 

そう、”天ちゃんダンサーズ”さんはこの曲どう可視化するのかなあって、めちゃくちゃ楽しみです。イメージは、1stライブツアー"The Only SKY"のハットかぶりジャケット羽織ったダンサーさんなんだけれど。(ダンサーさんは主人公に言い寄る狼みたいな感じ)

 

 

今まで雨宮さんの楽曲で味わってこなかったような、斜に構えたような感じですよね。

この主人公が好きすぎてめちゃくちゃ聴いてしまう。

 

この主人公はちゃんと自分をわかっていて「賢い娘」だと思うんですよね。

だから自分が自分自身に感じている「不満」だったり「侘しさ」、要は自分の欠点やネガティブな感情も理解している。

 

そして、ぜっっっったいこの娘は、自分のそういう「弱い部分」も実は好きなんですよ。

それは、ぜっっっったいに他人には見せないけれど。

 

誰より孤独が似合っていたいの」とか、「四の五の言わず不幸にしてよ」という歌詞が、耳に飛び込んできたときはもう、可愛すぎて好きすぎてニヤニヤしちゃったんですけれど。

 

気ままに「queen」として振る舞ってちやほやされる幸福、でもそれはこの娘にとっては「なんだか満たされないわ」で。

 

『Catharsis』は「浄化」という意味合いを持ちますが、この曲が言う「浄化」って、「幸福」からの浄化だと僕は解釈しています。

 

『幸福』は彼女にとっては穢れで、そこから浄化されての『不幸』を望む、みたいな。

 

彼女にとっては真の自分ってその『不幸』な部分で、そこが黄金の微睡みだと思うんですよね。

 

周りにとりつく狼共は「可愛い」って言ってくれるけれど、それはうわべだけ。

彼女もそれは「表層の自分の肯定」だとは賢いので理解していて、でも本当に承認されたいのはその微睡みの横で小さくなっている自分なわけで。

 

 

でも、「the drama queen」を演じてしまう。

 

だって、

 

弱さという醜さを 見せてしまった日には どうせ貴方面倒くさそうに 離れていくんでしょ

 

ですって。

 

可愛い、この娘、めっちゃ可愛い。

ふふ気まぐれ猫めきただのはぐれ猫背ふははは。

 

もう名役者ですよ。Great Pretender

 

 

伝わってないと思いますが、自分の中で落とし込めました。

 

ぬー、ライブで絶対可視化が楽しい曲なんですよね!前曲に『メリーゴーランド』があったりしても解釈ブリコラージュ楽しそう。

 

「Catharsis」っていう言葉を掘っても、いろいろ解釈変わってきて楽しそうですよね。

演劇学的アプローチだったり、哲学的アプローチだったり。

国会図書館に5日くらい籠もって調べてみたい。

 

可愛く歌ってみたり、いたずらっぽく歌ってみたり、蠱惑的に歌ってみたり。

聴いていて、楽しい曲ですよね。

 

足踏みしてからの、サビのこのメロディー好きでねぇ。身体揺れちゃいますね。

 

 


5. Queen no' cry

作詞:森村メラ 作曲・編曲:アッシュ井上

『Queen no’ cry』のベース演奏、LINDBERGの川添智久さんで、ただただビックリしました!神ですよ...

 

もう、さすが、ベースが最高に強くて超かっこいいんですよ、この曲。

 

先日ゲスト出演された「A&Gメディアステーションこむちゃっとカウントダウン」にて、この曲の主人公イメージを「筋肉質、慎重170cm、迷彩とかカーキが似合う、ほっぺに赤土付いてる系女子」とお話しされていましたね。

 

「ランボーじゃん」

 

というツッコミが、スピーカーの向こうの櫻井孝宏さんとハモりました。

 

 

「存在からしてデカめの強い女性をイメージしてましたね。「私は私の道を行く」的な、絶対に己の道を譲らない人物像ですね。」

 ニューアルバム『Paint it, BLUE』が世界を青く染め上げる!雨宮 天リリースインタビュー – リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト :取材 青木佑磨(学園祭学園) ・文 市川太一(学園祭学園))

 

ランボーじゃん。

 

Music Videoの話。

 

もの凄い強風で「元々縛る予定はなかったけれど、びしばし当たって痛いし纏まらないから括った」「ポニーテールが1回転した」というお話でしたが、より「赤土舞うハードボイルド」感を演出していてかっこいいですよね。

 

赤土の荒野広がる、ROUTE 66とかをさ、かっくいいアメ車で、粗野に運転する。

ロマンスありますよね...。

 

イメージは、やっぱり「ロードムービー」かな。

 

僕、数ある映画のジャンルの中で「ロードムービー」がとても琴線でして。

 

『イントゥ・ザ・ワイルド』や『レインマン』に『トゥルーロマンス』とか『パーフェクトワールド』とか、『リトル・ミス・サンシャイン』に『はじまりへの旅』(これは小型バスやキャンピングカーだわ)だったり『ストレイト・ストーリー』(これは芝刈り機だわ)とか。

 

 

ロードムービーって何か問題を抱えている主人公が旅を通して何か光を見つけたり或いは終わらせるようなお話が主ですけれど、この『Queen no' cry』の主人公は、どんな問題抱えているのかなあ、なんて思うと楽しいです。

 

この文章を打つために1分30秒で停止してから2時間経った。

フル版、初見なんですよねー。

 

ああ、この、モーテルの「OPEN」が点滅してるのとか、最高!!!!わかってる!!!

 

ロードムービーにはモーテル欠かせませんからね、良いですよ。

 

寝っこりをむふふと見ていたら、「誰が為じゃない」の絵面の強さに座椅子ごとひっくり返った。忍たま乱太郎の稗田八方斎みたいになってる。かっこよ...。

 

今回のひっそり青宿してるポイントは、ネイルなのかな。

ああ、この洗面台に爪痕残す演出良い...。

 

 

ひええ、かっこよかった。

 

トップメニュー演出毎回凝ってて良きですね...。こういうペイント系って言ったらいいのかしら、こういう筆?ハケ?で描かれる青好きなのですよね。

 

メイキングを見る。

 

雨。

 

あ、にやにやしながら見てたらMVの撮影パートまで進んでしまった。

 

やばい強風。

 

あ、本当に最初は髪束ねてなかったのですね。髪の毛張り付いてお顔が真っ黒になってしもうた。

 

もろに市道で撮ったんですなあ。

 

「愛車」、かわよ....。

 

 

はぇー、メイキングも、良きですね。

アメリカ式の、こういう家に住みたいんだよなあ。

 

あと、あれですね、こういう赤く色褪せたような色調の写真撮りたいなあ。

そう、雨宮さんのアルバムのブックレット写真とかもそうなんですけれど、「こういう写真撮りたい!」と掻き立てられることが多いんですよね。

 

2ndアルバム『The Only BLUE』のブックレットの、青色だけはくっきり映っていて他はモノクロな写真とか撮りたくて、カメラ買い換えましたもん。ああ、こういうアメリカ感じられるスタジオとかで写真撮ってみたいな。

 

 

そんでもって、曲の話。

 

『Queen no' cry』、聴けは聴くだけどんどん好きになっていくね。

 

こむちゃで「自分自身はひとりで生きていけると信じて進んでいくしかないような女性」という主人公像をお話されていましたけれど、この主人公は本当に付け込まれる隙がないですね。

 

本当に、既に1度、いやこの貫禄はきっと、何度も、なんだろうな。

何度も何度も挫けてきて、辿り着いたような貫禄。威圧。

 

"間違うことを恐れ

明日さえ決められないで

零してきたナミダと

もがいてできた無数の傷に

細工をほどこし飾れば

風が吹いても消えない

波が寄せても朽ちない

雨雲泣いても沈まない"

 

まじつよじゃん...。

 

この低く重みのあるような歌唱が、すごく威圧感あって場の主導権を握らせていないですよね。

真正面からデカいのをぶつけられている感じがする。

 

うん、2サビのこの強い歌唱好きだなあ。

 

「例えば、今までは芯の通ったまっすぐな強さを表現するために、小さな点を撃ち抜くような歌い方をしていたんですけど、「Queen no' cry」ではより荒々しく、大きな面に声を叩きつけるようにして歌ったんです。もはやメロディに音を沿わせるのは二の次みたいな感じで。そうすることでまた今までとは違った表情が出ていたらいいなと思いながら。」

 

  雨宮天「Paint it, BLUE」インタビュー|デビュー5周年を終え、未来に向けて力強く踏み出す一歩 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー:取材・文 / 須藤輝)

 

 

えー、なんか「弱さ」見つけて「強さ」の裏側を暴きたいけれど、本当に隙が無いぞ...。

えー、侵入試みたけれど、全然隙が無い。

 

ホームアローンじゃん。

 

入れないから脱出するしかないじゃん。

怒りの脱出じゃん。

 

ランボーじゃん。

 

スタローンじゃん。

 

 

 

「今までにない力強さを感じました。これまでの力強さって「確固たる意志で真摯に進む」みたいなイメージだったんですが、この曲は少し違って、手元のメモには「粗く荒い力強さ」と書いてあるんですよ。今までは例えば目の前の敵を日本刀でズバッときっちり倒していくような感覚だったんですけど、今回はバズーカで敵の基地ごと吹き飛ばすというか。「全員まとめてやっちまえ!」みたいな、そういう荒さが自分の表現として加わったなという感触があります。」

 

ニューアルバム『Paint it, BLUE』が世界を青く染め上げる!雨宮 天リリースインタビュー – リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト :取材 青木佑磨(学園祭学園) ・文 市川太一(学園祭学園))

 

乱暴じゃん。

 

いやあ、ほんと、ライブでこの暴力を受けるのが楽しみ。

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1番好きな歌詞と歌唱は、ともに「かかげた誇りは 誰が為じゃない」だなあ。

これを言い切れるのって、とても強い人だなあって思うのです。

きっと何度も聴きたくなる正体って、そこへの憧れなんだろうね。

 

羨望じゃん。

 

 

 

Dメロの「魅せてあげよう」の低音コーラスの方の、ロングトーンが好きだなあ。

あと、なんと言っても「Na na na・・・Queen no' cry」の中毒性たるや。

このラスサビ後の方、ライブで一緒に歌うような演出とかになったら、楽しそうですよね。

 

願望じゃん。


6. VIPER

作詞・作曲・編曲:塩野 海

『Queen no' cry』アウトロの余韻の中で、ふらっと「VIPER」の、あのすかしたイントロ流れてくるの最高に気持ちが入っちゃいますよね。

 

前曲に『Queen no' cry』があることによって、ちょっと違った見え方が新たに視認できたなあと感じています。

 

以前ブログに纏めたんですけれど、僕の中で『VIPER』ってMVを見た限りではざっくりこんな解釈なんですよ。

 

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歌詞にうたわれている余裕のある表情や想起させるかっこいい姿ってどちらかというとタイピストの方がイメージ通りで、見つかって縛られたりする侵入者のほうには、僕はどうもその姿を感じられないなって。

 

これひょっとすると、

「VIPERがタイピストを始末しに来た構図」

じゃなくて

「タイピストがVIPERに(自分を)始末され(せ)る構図」

だったりするんじゃない? 

 

仮にそうだったとして、じゃあ、この「侵入者」が誰なのか。

 

「侵入者」と「歌っている人物」は別人だと思うんですよね。

どう見ても侵入者は余裕なさそうだけれど、タイピストはめちゃくちゃ目で殺してくるし声色通りの表情を終始浮かべているんですよ。

 

だから、僕の中で「VIPER」ってあの「侵入者」じゃなくて、「タイピスト」の方。

 

そんなVIPERが自分を始末させようとする相手、となると、「本来在った理想の自分」、なんじゃないかな。

 

ラスサビにVIPERの前に姿を現す「侵入者」。

VIPERが偽り綴ってきた「自分」というフィクションを壊しに来た「侵入者」。

 

それはVIPERが本来在りたかった自分で、その自分に殺される刹那、 VIPERは笑みを浮かべるっていうラスト。

 

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基本的に、僕は「VIPER」って闇落ちした人だと思ってる節がありまして。

だから、雨宮天ライブ2020"The Clearest SKY"の『メリーゴーランド』の諦観からの『VIPER』までの流れは「闇落ち」感があって、すごく好きです。

 

雨宮さんも『VIPER』に関して、「アキメネスの花びらが一つ落ちた」という歌詞について「アキメネスの花言葉は”あなたを救いたい”」という意味であることを明かされていましたよね。

 

この言葉は「VIPER」にかけられた言葉と解釈していて、併せて「VIPER」にはそう思われるほどの危うさが帯びていると解釈しているんですけれど。

 

今回、前曲に『Queen no' cry』があることによって、「VIPER」にも『Queen no' cry』みたいな揺るがない強い信念があった時代があったのかなあ、なんて思いました。

 


7.火花

 

 作詞・作曲:雨宮 天 編曲:荒幡亮平

リサイタル版を経ての、この編曲。

この版すごく好きなんですよね...。

「『火花』の歌詞は、私にとってはちゃめちゃに楽しかったとある夏の思い出がベースになっているんです。」

雨宮天「PARADOX」インタビュー|ポップに突き抜けた新境地の10thシングル - 音楽ナタリー 特集・インタビュー:取材・文 / 須藤輝)

 

と、ナタリーの記事で語られていたけれど、口ずさんでいると不思議にこの5年雨宮さんや大好きな人たちと過ごしてきたはちゃめちゃに楽しい思い出が脳裏にどんどん浮かんできて、"The Clearest SKY"からの帰り道、早朝帰りの飛行機で眩しい朝陽のなか嗚咽を漏らすまいと必死だったことを思い出すんですけれど。

 

なんだろうな、あの世界観。

戻れぬセピア色の思い出って感じで、いやセピア色ってどんな色かよくわかってないけれど。

そうだなあ、戻れない、淡い、でも色濃い思い出を想起させる曲。

 

その『火花』の歌詞について、

 

「「火花」の世界を広げてくれるのはファンの皆さんだと思っていて。そのインタビューでもお話しした通り、私には歌で伝えたいことを見つけられなくて、歌詞を書くのにすごく悩んだんですよ。そのとき見つけた自分なりの手法が、身近で起こった取るに足らない出来事を、さも重大事のように、シリアスに情緒的に書き換えていくことだったんですね。そこで改めて日本語が持つ奥行きにも気付けたし、そうやって書かれた歌詞を皆さんがどう解釈してくれるのか楽しみで。」

  雨宮天「Paint it, BLUE」インタビュー|デビュー5周年を終え、未来に向けて力強く踏み出す一歩 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー:取材・文 / 須藤輝)

 

 

 

などと、「歌詞解釈」を肯定してくださいましたね。

 

「元ネタの思い出」はお話するタイミングを考えている、みたいなことも語っていらしたので、そのお話が楽しみだなあと思いつつ。

 

 

んー、届けられた結果の解釈のみして楽しもうと思っていたんですよね。

でも、なんだか雨宮さんも「ネタばらし」のタイミングを考えてくれているくらい楽しんでいるみたいなので、ちょこっとだけ考えてみるぞい。

 

お友達とBBQして、楽しかったなあと思い出している感じ。

 

Aメロが懐古していく情景(ぽわわわわーんって吹き出しが出てる)

Bメロ~サビが懐古された思い出

 

焦がれるのも、焼き付けるのも、「肉」!

以上!

 

 

結果として出されたものの解釈をする。

 

 

んー、そう、「肉」は抜きして、え、嫌だ、肉抜かれたらどう食生活送っていけばいいんだ。

 

不用意にボケたからリカバリー方法を見失って15分困った。

 

この曲って「自分の中でのあたたかい思い出」を思い出す曲だと思っていて。

さらに言うと、そうやって思い出された思い出の存在の大きさに驚きを伴って気が付く曲。

 

さらに言ってしまえば、アニメの特殊エンディングで流れていそうだなあってアルバムで聴いていて思っていました。

 

22話くらいで、主要キャラが死んでしまった回。

 

この曲アウトロ、歌詞カードにない「LaLaLa...」みたいな部分、あそこめちゃくちゃ好きなんですけれど、その特殊エンディングに合わせてあの部分もTVサイズ版として繋ぎ合わされていたとして。流れたしまいには歌詞よりあの部分が声にならない慟哭めいてて、めっちゃ泣かされそう。

 

まあ、そこまでは解釈すると幅を狭めてしまうので、一旦ここでクローズ。

 

 

そうだなあ、僕の中で『火花』はどういく曲なのかなあっていう話をすると、「自分の中でのあたたかい思い出」を思い出し、そうやって思い出された思い出の存在の大きさに驚きを伴って気が付く曲かな。

 

それは死別。

 

 

 

もうちょっとアウトロのお話をすると、僕ああいう歌詞にない「LaLaLa...」みたいな部分好きなんですよね。

 

 

心の琴線に触れたとき、明言しようにもうまくいかず、思わず漏れる音。詠嘆のほとばしり。感動っていうより、感慟。

「慟」の方が心の揺れ動くさまがいっそうはっきりと示されていると思うんですけれど、それくらいその思い出が自分にとって明言できない程の存在としてあって、自分の心の一等地にあることに気が付く。

 

アウトロにああいう「詠嘆」の表現があることで、詞というお弁当箱に詰め込むことができないくらい、言葉の紡ぎ手の想いが溢れていることを想起できる気がします。

 

雨宮さんが作詞されたこの曲。

漢字、というか言葉遊びが好きな印象がある雨宮さんらしさが感じ取れる詞になっていますよね。

 

「口元偽るルージュ」「胸元偽るジュエル」、ともに偽るを「いろどる」「かざる」と読ませている部分も好きだなあ。

 

そして何より、「錆び付く扉開けて 鈍の風に晒される」と「寂び付く瞼閉じて 涅の夢に攫われる」の部分。

 

どちらも、物憂げに懐古するような印象を受ける表現だなあと感じているのですが、①「錆び付く」に並列して「寂び付く」という言葉を引っ張ってくる ②「開く」と「閉じる」の対句表現 ③「鈍」と「涅」の色合わせ、「晒される」と「攫われる」の近しい音で整える。これらを行った上で似たような心情表現として並列させる。

 

天才か?

 

文面での気づきが多くて、読んでいて楽しかったですね。

こういう"悪戯”をやってくれるなら、仮に今後また悪戯な初披露があったときに、文字だとどんなものが嵌められているんだろうと考えると、すごく楽しいだろうなあ。

 

 

この曲の収録に際して、

 

「レコーディングしながらバンドの皆さんが「どのテンポが一番しっくりくるかな」とテンポをちょこちょこ変えてくださって、それに対して、私としては「火花」は遅れ気味のテンポで歌いたかったので、そういう要望をお伝えしたり。そうやっていろんなテイクを試していく中で、ピアノもギターも毎回アドリブで違うフレーズを弾いてくださって。それに合わせて自分の歌唱も変わっていくし、やっぱりみんなで「せーの」で録ると、すべてのテイクが全然違うものになるんだなという驚きがありました。」

  雨宮天「Paint it, BLUE」インタビュー|デビュー5周年を終え、未来に向けて力強く踏み出す一歩 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー:取材・文 / 須藤輝)

 

ともお話されていましたね。

もう、それは”セッション”じゃん...すごい。

 

 

『火花』、天ちゃんバンドとセットで収録したということで、歌と演奏が「同じレイヤー」というか、「同じ空間」で届けられている感じがします。

その空間に融け入っていくような感じ。

 

心地良い、哀愁、みたいな。


8. Next Dimension

作詞:大森祥子 作曲・編曲:Saku

アルバムの楽曲詳細が出たときに、目を疑った「作詞:大森祥子」の文字。

 

デジモンアドベンチャーの『brave heart』やおジャ魔女どれみの『おジャ魔女カーニバル』など、幼少期から聴いていた思い出のアニソンたちをガッツリ生み出してきた人だったので、急な降臨にビックリしました。

 

まさかねえ、大森さんの曲を雨宮さんがソロ活動で歌う日が来るとは。

 

 

リード曲の「Queen no' cry」がみんなを力強く引っ張り上げていく曲だとしたら、「Next Dimension」はみんなと歩幅を合わせつつ背中を押すような曲になっていて。基本的に、私の曲には“自分”という確たる存在があって、それぞれの世界観でそれぞれの主人公が自分の信じる道を貫くさまを描いていることが多いんです。それに対して「Next Dimension」は、聴いてくださる方に寄り添うことを目的として選んだ曲なんですね。

 雨宮天「Paint it, BLUE」インタビュー|デビュー5周年を終え、未来に向けて力強く踏み出す一歩 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー:取材・文 / 須藤輝)

 

曲のイメージとして、「白、正統派ヒロイン、近所の幼馴染」「みんな大好き王道曲、希望的で優しめな歌詞のイメージ、切ないけど前向きな旅立ち」ともお話しされていましたね。

 

そう、ねえ。

 

Next Dimensionは、たまに会ったときに励ましてくれる、なんだかリリイベやライブ会場での関わり合いを想起させますね...。

『Lilas』や『Song for』とか、「寄り添ってくれる曲」って、そのまま天ちゃんにお返しもしたい気持ちになるのですよね。 ライブは、特に。

 

はやく、返せる場がくるといいな(´×`)

 

 

 いつも「こちら」を意識した曲という枠を設けてくれて、とても嬉しいね。

そういった曲が日々支えになり、希望となり、前を向かせてくれている訳で。

希望になりたいね。

  

 

なんだろうな、なんか1期で大きなひと山超えた後の、2ndクールのTVアニメOP感があるなあと思っています。

 

女の子たちの物語を描いたアニメの、2ndクールOP。

 

前曲の『火花』と続けて聴くの、好きなんですよ。

 

『火花』がまさにその「ひと山」部分の壮絶さ直後の憂いみたいなテイストがあって、それを受けてのこのキラキラとしているけれど、一皮むけた強さを感じるこの曲。

 

良いやね。

 

あくまて、曲のイメージはそんなところで。

 

ここからは、僕がけ取ったものについて。

 

 

んー、なんだろうな。

 

頑張っている人って、「孤独」じゃないですか。

 

自分が「孤独」を感じているから、とか以前に、世の中頑張っている人みんなそうでしょみたいな偏見あるんですけれど。

 

頑張りを肯定されたいし、認めてもらいたいし、抱きしめられたい。

 

僕なんてしょっちゅう「抱きしめられてぇなあ、包まれてえなあ」って思っているんですけれど、(いや、みんなそうでしょ深層心理)この曲を聴いていて、なんだろうな、抱きしめられてはないんだけれど、自分に差しのばされた手があるという「存在」がすごく理性を説かしてきました。

 

理性を解くわけにはいかないんだけれど、向けられた想いに説かされ説かされ、理性が本心に溶かされていく感じ。

 

なんか握りすぎて歪なおにぎりになっちゃったけれど、要は「意地張ってた部分の荷が下りて、双肩に在りたい自分の理想が乗っかった」みたいな感じ。

 

 

イントロの、この入りのメロディー好きなんだよなあ。音楽的な知識ないから何と言うのか分からんけれど。

 

ただこちらを「肯定」してくれる曲じゃないところが好きです。

 

インタビューの中で、

 

「ええと、「Next Dimension」の歌詞には「僕」と「君」がいるんですけど、そういう近しい間柄の2人の世界を描いた曲が、私にはあんまりないんですよ。だから例えば「僕は僕になる」という歌詞だったら、それはあくまで自分の意思として自分の中に秘めていることで、わざわざ隣にいる「君」に伝えるということをしていなかったんです。」

 雨宮天「Paint it, BLUE」インタビュー|デビュー5周年を終え、未来に向けて力強く踏み出す一歩 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー:取材・文 / 須藤輝)

 

 

とお話しされているように、「僕」と「君」がいることがこの曲の味噌だと思うんですけれど。

 

サバの味噌ホイル焼きが好きです。

給食終わりに味噌がたっぷり付いたホイルで残ったご飯を包んで、部活の前に、野球の練習着に着替えてる時にこっそりよく食べていました。

 

なんだろうな、こう。変な話するから自分が何を掬いたいかわからなくなるんだけれど。

 

「僕」と「君」がいることがこの曲の味噌だと思うんですけれど。

 

君は君になれ 

君の夢は君以外見られない

(...)

心のまま理想を生きて

 

というサビ部分。

 

自分にとって大切で、不可逆で、自分などないままに幸せに生きてほしい相手へ向けたエールの部分。

 

君は君で、僕は僕で、不可逆。

 

ただこのエールを伝える曲ではなくて、「あなたがその道を行くために自分はこう在りたい」と心に刻んでいるように歌詞が紡がれていくことが、とても喉奥を締め付けてきます。

 

この主人公自体も、すっごく頑張っていて、だから同様に孤独を感じていて。それがDメロの、「無邪気な期待抱くには 人生、現実は残酷みたいだ」という歌詞から僕は感じるのです。

 

でも、その直後の歌詞に「それでも 抗う互いを 勇気に・・・」と続いて、

 

僕は僕になる

僕の夢は僕以外は見られない

誰にも任せられない

少し怖いけど 孤独追い越してゆく

胸の熱さ信じてみたい

 

と、この部分だけ自分を主語に、密やかに自分の中に宿った灯りのあたたかさを感じ取る場面がとても好きです。

 

雨宮さんの挑戦を受け取ったあとにいつも起こる自分の心境とリンクして。

こういう曲を届けられると、そういう気持ちに鳴るんだよね。

綺麗な共鳴はできないんだけれど。

 

 

「君」のための曲なんだけれど、「僕」のための曲でもあって。

 

無邪気な期待を抱くには残酷な”不可逆”の世界で、在りたい姿からかけ離れた不真実な二人が、真実の自分になるために抗っていくような、物語性のある曲かな。

 

そして、その抗いは”不可逆”ではないんだと思う。 

大森さんが「書き出しが最後まで変わらなかった」と話されているけれど、”不可逆”という言葉はこの曲のキーになっているように感じていて、そのような解釈になりました。

 

んー。

 

ずっと雨宮さんを応援してきた人格としては、ずっと「あなたが望むままの理想を生きて」みたいなことをお伝えしてきたんですけれど、そのためにも、やっぱりちゃんと僕は僕で僕にならないとなあ。

 

がんばろ。

 

好きな歌詞は互いのBメロ。

 

1)

大事なもの 多く要らない

欲張って 両手から零して

ゼロにしたくない

 

2)

大事なもの 多くないから

片手はほら、いつも空けておくから

大丈夫 崖から落ちそうな時は差し出せる

君に僕の片手を

 

差し出されるその手に泣きそうになるけれど、まずそういう状況になりたくないし、自分が手を差し出す以前に「君」にも崖から落ちそうになってほしくないので、「君」も君で頑張ってほしい。

 

この曲全体の、高音のキラキラした成分がある雨宮さんの声、好きだなあ。

キラキラしているんだけれど、真実を見据えているよな眼差しを感じるような声。

 


9. PARADOX

作詞:藤原優樹 作曲:編曲:トミタカズキ

『PARADOX』は別段、このアルバムで受け取り方が変わったような感覚はなくて。

 

正直、楽曲のテイストが「かわいい」にかなりステータスを振られているので、ほかのアルバム収録曲と比べてもっと浮くかなと思っていました。

 

 

でも、いい意味合いとして、このアルバムにたくさん在る世界の、複数いる主人公のひとりに収まっているなあという感覚です。

 

それだけこのアルバムで、本当にいろいろな曲の主人公が集まっているなと感じるからだと思うんですけれど。

「声優として歌う」をすごく感じられるアルバムになっていますよね。


10. Song for

作詞・作曲・編曲:塩野 海

曲の解釈はこちら

 

3rdアルバム発売までに世に出たシングル曲のカップリングの中で、唯一収録されている『Song for』。

 

これまでのアルバムから「こちらへ寄り添ってくれる曲」って収録曲の中でも1枠みたいな勝手なイメージがあったので、『VESTIGE』じゃないんだ、と驚いたものです。

 

リリースにあたり、「みんなの中で不安が広がっている時期に」というような言葉を多く用いていた雨宮さん。

 

こむちゃへ出演された時にも、このアルバムのコンセプトとして「5周年終えて6年目への力強い第一歩」を挙げつつ、「不安定なこのご時世、みんなを引き上げられるように」との意図もお話されていましたね。 

 

なんだか、この曲が収録されたことに関してはそういうテーマもあったのかなあ、なんて。勝手でお子様ランチみたいな想像をしているわけです。


11. 蒼天のシンフォニア

作詞:アッシュ井上・しらゆき美優 作曲・編曲:アッシュ井上

初めは候補曲の中になく、「どうしても1曲は雨宮天の王道曲を入れたいです」と角田プロデューサーに伝えたところ、迎え入れられたというこの曲。

雨宮さん自身も「聴き惚れた」とし、「原点回帰であり、そしてアップデート感もあった」ともお話されていましたね。

 

ストリングも強くて、3rdシングル『Velvet Rays』的な、何か気高い強さがある曲だなあと感じました。

 

そう、ね。気高い感じ。

遠く遠く、どこまで澄み切るような、広がっていく青。

 

so far away we sing for blue sky

 

雨宮さん自身は、「白と金の洒落た甲冑、寿命などない、翼生えてる、魔法が当たり前の異世界でも最高クラスの強さ、ヴァルキリー」という主人公イメージを挙げていましたよね。

 

そうだなあ、あまり、僕のマインドがこの曲の主人公の気持ちに鳴らなかったんですよね。

多分、それはこの曲の主人公が「最強」であることが主因だと思っていて。

 

雨宮さん自身が、「だから彼女が戦う相手は実体のある敵というよりは、もはや世界そのものみたいな、想像を絶する巨大な何かなんですよ。要は、普通にしていてもめちゃくちゃ強いヴァルキリーが、限界を突破して戦っているようなイメージで歌った」

 雨宮天「Paint it, BLUE」インタビュー|デビュー5周年を終え、未来に向けて力強く踏み出す一歩 - 音楽ナタリー 特集・インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー:取材・文 / 須藤輝)

 

とお話されているように、この主人公は鋭く研ぎ澄まされた強さがあるなあと感じていて。

それは、この曲の主人公がそれ程強い何かへ抗うだけの必要性があるからなんだろうなあと。

 

僕が雨宮さん楽曲で惹かれる部分って「強さの中にある弱さ/そこからの『それでも』」な部分なんですけれど、その点、この曲の主人公は揺るぎのない感じを受けました。気高い、というか挫けないようにギラつかせているような強さ、かなあ。

 

んー、正直、自分がこの曲をどう受け取るんだろうっていう部分を掴みかねているところがあって。

自分のどこの気持ちに、この曲が鳴るんだろうっていうのが、まだ分からない。

 

その点、これから解釈できるかなあって楽しみがある曲です。育成枠。

 

ライブで、ストリングスありで聴きたいなあ。

 


12. Regeneration

作詞:KOUTAPAI 作曲・編曲:saku

前曲に『蒼天のシンフォニア』があることで、すっとこの曲に入れるような感じがします。多分、「戦記物」の曲っていうイメージの類似性が原因。

 

やっぱり、好きだなあ、『Regeneration』。

 

また気付かれない内に心が蝕まれて行く

(感情も言葉も)

 

の部分が一番好きな描写なんですけれど。

 

そうなあ、今年年始くらいに鬱状態だったんですけれど、本当にこういう感情も言葉も湧いてこないような感覚だった時期で。

そんな時期に”The Clearest SKY"でこの歌詞を聴いてすごくリンクを感じたのと同時に、その後紡がれていく「それでも」に力を貰ったことを思い出します。

 

んー、この曲がこの位置にあると、締まりますね。

 


13.雨の糸

作詞:上坂梨紗 作曲:Franz Liszt・川崎里実 編曲:家原正樹

フランツ・リスト原曲、『愛の夢』第3番 - 変イ長調(『おお、愛しうる限り愛せ』 "O lieb so lang du lieben kannst" 。
 
フェルディナント・フライリヒラートの詩が添えられているこの原曲。ドイツ詩人の詩は好んで読むのですが、彼の詩にはまったく触れたことがないのでいつか読んでみたい...。
その原曲の詩の一部が、こちらのようで。
おお、愛しうる限り愛せ!
その時は来る その時は来るのだ
汝が墓の前で嘆き悲しむその時が
 
 
調べてみて全文を読んできたけれど、神様のもと、人と人の愛がテーマの詩なのかな。
生まれ変わった姿の『雨の糸』にも共通する部分のように感じます。
高校に入ってすぐくらい、金縛りがひどくて毎日深夜3時くらいまで苦しんでいたときに、ラジオから流れてきたのがこの曲だったんですよね。
その日は安眠出来て、それからクラシックを一時的に聴くようになったキッカケの曲です。
このアルバムに12人いる、各楽曲の主人公。
彼らの戦いをすべて外から大きく包み込んでいる、ような楽曲ですよね。
包み込んでいる、というより、彼らに、そして彼らが「悪」として戦っている敵や理想ではない自分にも降り注ぐ雨、といった方が良いのかもしれません。
この曲を聴いていて、「万糸雨」という言葉が頭に浮かびました。
無数の糸を垂らしたような細かい雨。細かく幽かで柔らかい、春の雨。
草木の若い芽が萌え立つ野山に無数の細かい糸のような春雨が降りかかる情景が想起されました。
この雨は、どちらにも平等に降りかかる雨だろうなあと思っていて。
どちからにとっての「慈雨」でもなく、「瞑怒雨」でもなく。
幾多の争い、抗い。そんな中で自分に降りかかる「身を知る雨」のイメージ。
んー、なんかポエミーになりましたが、これぞ「雨詩を催す」やね。
んー、あとは「青」っていう色が暖色たる所以の究極みたいな曲ですよね。
以前、こんなことを書いたことがあるんですけれど。

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海や空と、僕らは『青』に囲まれ生きている。

 

そして、あなたはキリスト教の聖母マリアは赤い衣服と、そして必ず青いマントを羽織って描く、という約束事をご存知だろうか。

 

 『赤色』は血、生命を産む母の色。

『青色』は天の色、つまり海や空、包容力を指し示す。

 

繰り返される生命の営みを人間の手の届かない領域で青が包み込んでいる、聖母マリアの宗教画にはそんな意味合いが込められていたりもする。

 

 もし勘のいい人なら、教会のステンドグラスに『青色』が多く用いられている理由も勘づくだろう。また、青色顔料は希少で高価なものでしたからそれを用いて書くことで、聖人への畏敬の念も込めたのかもしれない。

 

 この限りにおいて、僕は雨宮さんが時折見せる『青色』が好きだ。

 

この限りにおいて、僕はこの曲(=Song for)が『青色』であると思う。

 

どうだろう、先ほどの『青色』とこの『青色』の性質の違いが伝わるだろうか。

 

『遠い手を伸ばしたくなるような理想』として、『慈愛、包みこむような存在』として。

 

こう考えると『青色』は確かに寒色だけれど、僕は暖色でもあると思う。だから僕は、雨宮天さんの6thシングル『誓い』にも『青色』を感じる。

と言うよりは、その濃淡はあれど、そのふたつの性質において僕は雨宮さんの楽曲はすべて『青色』の叙景詩として感じられる。

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こんな感じで、僕の中で青って「遠い理想の色」(=寒色)と「包容力のある色」(=暖色)という二つのイメージがあるんですけれど。
※寒色の方の青へのイメージも上のリンク先で書いているので、興味あれば。
そうだなあ、ほんと、聖母マリアですよ。この曲。
 
そんな目で明日を眺めず 眠りなさい」という歌詞が、パワーワード過ぎる。ここの声色が、とても好きだなあ。

 

穏やかになれますね。

んー、「これから」へ歩んでいく雨宮さんの力強さに、安堵と共に大きなエネルギーを貰ったアルバムでした。

 

ひとことで言うなら、負けてらんねぇなあ!っていう感じ。

 

僕の性格上、あまり戦いたくない人間なので、なんかその、「俺も頑張ろう!」っていうエネルギーに充ちているのがすごく不思議な感覚なんですけれど。

 

がんばらなきゃな。

 

だから、がんばってくれよな。

 

って感じ。

 

5周年の歩みを今はじめて見終えた。

 

"Various SKY"のこのMC、今までもらったどんな言葉の中でも、いちばん、嬉しかった言葉なんだよなあ。

 

この雰囲気懐かしいなあ、あの時ここに救われたんだよなあ、など思い出しつつ。

 

んー。

 

 

 

あれは本当にあったことなのかしら、と不思議な感覚。

 

でも、こんな風に、もう思い出になってしまったものたちのほんの少し手前の堤防を僕は両手でバランスをとりながらなんとか、これからも歩んでいくのだろうなあ。

 

 

?深夜?

 

そう、だなあ。

 

去年くらいからかな、「あなたのために何が出来るかな」っていうのが薄くなってきて、「あなたからもらったものをどう結実させよう」という風に、回路が組み変わっている気がする。

 

「これから」に向かって進んでいく雨宮さんを、僕はどういう風に、応援しているんだろうな。

 

 

どんなふうに、あなたを好きでいるんだろう。

 

んー、米倉千尋感を出して呟いてみたけれど、わからん!!

 

わからんから、目の前のこと頑張って、ちょこちょこ言葉を自分の中に集めて、必要なときに考えよう!!

 

 

そうね。

 

あなたが何処かで頑張っているという存在を感じながら、あなたなどないままに、ちゃんと頑張ろう。

 

いつかまた、「この日のために頑張っているんだな」と感じてもらえるような日がくるといいな。

 

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。

 


雨宮天 オフィシャルサイト

 

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雨宮天 Amamiya Sora

3rd album

「Paint it, BLUE」

2020.9.2 Release